環境に配慮した紙づくり
竹紙
今、生物多様性の保全や森林・里山保全、国土保全の観点から、日本の各地で放置竹林の拡大による森林内や周辺の生物多様性の低下、森林の持つ水源涵養機能の低下、土砂災害・土砂崩壊への影響が大きな社会問題となっています。
かつては日本人の生活や文化に密着し、使用されていた竹が生活様式の変化や代替品へ変化したことが主な原因で、国内の竹林が管理されず放置されたままになっています。管理されない竹林はその旺盛な成長力から光を求めて森林や里山に侵食します。この問題を解決するには、かつてのように竹の大量消費が不可欠です。
竹林の多い鹿児島県薩摩川内市に工場を持つ当社は、1998年より国産竹の有効活用に取り組み始めました。タケノコの生産性をあげるために間伐された竹の有効活用を打診され、地域貢献の一環としての挑戦でした。
成長の早い竹ですが、空洞のため伐採、運搬、製紙原料としてのチップ加工等、木材に比べて効率が悪く、現在、日本の製紙会社ではほとんど扱われていません。当社は、タケノコ農家、チップ工場の協力を得ながら試行錯誤を重ね、竹の集荷体制を築きました。現在では年間2万トンを超える竹の集荷を誇り、この集荷量は日本で一番となります。
地道な挑戦を続けていました。2009年には、国産竹100%の紙を製造販売し始めました。当社は、日本の竹100%を原料とした紙をマスプロ製品として生産販売している、唯一の総合製紙メーカーです。
国産竹の活用は、地域の竹林管理、隣接する森林や里山の保全再生、生物多様性の保全に役立つとともに竹に新たな価値を見出し、地域経済にも貢献しています。
竹紙は当社独自の本業を通じて社会的課題を解決する取り組みとして高く評価されています。