オオタカ、国内希少種から指定解除の波紋

2018年5月1日(火)
オオタカ。メスは羽を広げると1mにもなります。

オオタカ。メスは羽を広げると1mにもなります。

皆さんはオオタカという鳥をご存じでしょうか。大型の猛禽類で、里山では食物連鎖ピラミッドの頂点に位置することから、里山の豊かさを物語る生物とも言われています。
これまでオオタカは個体数が減っていたため、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」によって国内希少種に指定されていました。希少種に指定されると、捕獲や輸出入が禁止されるほか、土地所有者は保存に留意する義務を負います。そのため高速道路の計画地や開発予定地付近などでオオタカの営巣が確認されると、工事が長期にわたって中止されたり、影響が及ばないように対策を講じたりすることが求められました。例えば2005年に開催された愛知万博では、会場候補地の里山でオオタカの営巣が確認されたため、会場計画が変更されたことがありました。このようにオオタカは乱開発を食い止める役割も担っていたのです。
ところが2017年9月21日に環境省は「個体数が十分に増えた」として、指定を解除しました。一方で今後も生息数の監視を続けて、減少が確認されれば再指定を検討するとのことです。個体数増加による指定解除は喜ばしいことと思いがちですが、環境保護団体などからは、里山の開発が進むことを懸念する声が上がっています。私たちも見守り続けたい課題です。
写真キャプション
オオタカ。メスは羽を広げると1mにもなります。

特定非営利活動法人里山保全再生ネットワーク

岩間 敏彦

特定非営利活動法人里山保全再生ネットワーク代表理事。本業(ライター・カメラマン等)で培った技能を生かして社会貢献をしたいと考え、里山保全を始めとする環境保護活動に参加してきた。現在は里山保全・再生に軸足を置きつつ、複数の環境NPOで代表理事・理事などを務める。