消えかけている「森の楽器」が奏でる新たな物語
2017年12月1日(金)
皆さんの記憶にあるカスタネットの素材は何でしょうか。「プラスチックだった」という方が多いかもしれませんね。
去る7月に群馬県みなかみ町のカスタネット工房を訪ねました。カスタネットを木から生産する日本最後の工房です。カスタネットは里山の雑木林で得られる材から作られてきましたが、次第にプラスチック製に置き換えられてしまいました。
雑木林は人の生活に必要な材を持続的に得るため、切り株から新芽が生える木に植え替えられた人工林ですから、木材が利用されなくなると荒れ果て、生息する生物も減ってしまいます。そのため50年以上もカスタネットを作り続けてきた職人さんが、近くの「赤谷の森」から得た材や、手作りの工具・治具を使って木製のカスタネットを作り続けているのです。また、森への寄付金を付けて販売しています。
この取り組みを知った弊団体も応援することを決めました。キットを取り寄せてイベントなどで「模様を自分で描くオリジナルカスタネット作り」を行うことにしたのです。また、カスタネットは障がいがある子どもたちも演奏に参加できる楽器なので、障がい児福祉に関わる団体などへの寄付金も付けることにしました。さらに近い将来は他地域の森から切り出した材でもキットを作ってもらおうと考えています。木製のカスタネットを通じてどんな物語やネットワークが生まれるのか、いまからとても楽しみです。