雑木林の再生を進めるための、新たな取り組みがスタート

2016年11月30日(水)
現地の林で実施してみた、林の好きな場所で寝転ぶという森林療法。心地がいいひとときでした。

現地の林で実施してみた、林の好きな場所で寝転ぶという森林療法。心地がいいひとときでした。

里山を構成する重要な環境が雑木林です。しかし、燃料や肥料、生活に必要な材などの供給源といった役割を失った今では荒れ放題の雑木林が増え、鳥獣害の多発や生物多様性の喪失などの問題を生み出しています。

木材生産が主目的の林業地ならば、国や地方自治体からさまざまな補助金が受けられるのですが、雑木林は対象外のためなかなか再生が進まないのです。

そこで弊団体は長野県の筑北村というところで、「福祉の森づくり」を目指す取り組みに参画し始めました。雑木林を福祉的な用途(メンタルへルスやリハビリテーション、障がい者の就労支援、高齢者の健康増進など)で活用する取り組みです。「雑木林の新しい役割を探そう」と考えてきた有志がお互いのアイデアを出し合い、計画を煮詰めてきました。その結果、環境省が全国で展開している「協働取組加速化事業」に選定されました。

現在、筑北村の現地では、林業会社や地域住民による協議会、村、地域の社会福祉法人、地域おこし団体、福祉系のNPO、弊団体などが協働する形で、まずは心身の健康を回復するために森林を活用する「森林療法」を実戦する場としての活用を模索し始めています。また、障がい児向け遊具の開発(将来的には林から得られる材で製品を作る計画)にも着手しています。

このような「福祉的な用途で雑木林を活用しながら、雑木林の再生も目指す」取り組みは全国でも希少です。今後も折に触れてこのコーナーで進捗をご報告したいと考えていますので、ぜひご期待ください。

 

※協働取組加速化事業とは 主に環境保全に関する地域課題の解決や、地域活性化のために、さまざまな関連団体が役割分担をしながら取り組むプロジェクトを環境省が選定。また、環境省の委託事業とすることで必要な予算を手当てし、取組を加速化させる事業。

特定非営利活動法人里山保全再生ネットワーク

岩間 敏彦

特定非営利活動法人里山保全再生ネットワーク代表理事。本業(ライター・カメラマン等)で培った技能を生かして社会貢献をしたいと考え、里山保全を始めとする環境保護活動に参加してきた。現在は里山保全・再生に軸足を置きつつ、複数の環境NPOで代表理事・理事などを務める。