里山風景をつくりだす「世界かんがい施設遺産」、国内では13施設に。
2015年11月27日(金)
今年10月、「世界かんがい施設遺産」に、日本の4施設が登録されたとのニュースが届きました。かんがい施設とは農地に水を供給する人工的な施設のことで、用水路や農業用ため池などが該当します。
「世界かんがい施設遺産」は、かんがいの歴史や発展を明らかにするとともに、人々の理解をはぐくみ、貴重なかんがい施設を適切に保全することを目的とした登録・表彰制度です。国際かんがい排水委員会(ICID)によって2014年に創設されました。対象となるのは建設から100年以上経過し、かんがい農業の発展に貢献した施設や、卓越した技術によって建設された施設など、歴史的にも技術的にも優れ、社会的価値のあるかんがい施設です。国内では2014年9月に9施設が登録されているため、今回の登録を合わせると13施設が、世界的にも貴重なかんがい施設として認められたことになります。
国内で「世界かんがい施設遺産」に登録された施設の大半は、主に新田開発が盛んだった江戸時代に築かれた用水路です。稲生川用水(青森県)、深良用水(静岡県)、立梅用水(三重県)、通潤用水(熊本県)などが登録されています。水に恵まれず、貧しかった地域に用水路を築くことで、豊かな土地と美しい田園風景がつくりだされました。歴史のある用水路は、里山風景の生みの親とも言えそうですね。