忍び寄る外来生物たち
2012年11月28日(水)
今年の9月、長野県の上高地で「特定外来生物に指定されているオオハンゴンソウが見つかった」と言うニュースが報じられました。上高地は国立公園特別保護地区や天然記念物に指定されている上に、マイカーでの進入を禁止するなど、さまざまな方法により、昔からの美しい自然環境が守られてきた土地です。しかし、今年の夏に初めて、環境省上高地自然保護官事務所などが本格的な外来植物の調査を実施したところ、オオハンゴンソウが見つかってしまったのです。
このオオハンゴウソウなどの特定外来生物は、繁殖力がとても強い生物を指し、アライグマやオオクチバス、アメリカザリガニ、ウシガエル、アレチウリなどがよく知られています。もともとその土地で生育している在来種を駆逐してしまう恐れがあることから、販売・頒布目的での飼育・栽培や、許可のない輸入・販売、野外へ放つ行為などが禁じられています。
実は里山でも、生態系や生物多様性を破壊してしまう生物としても恐れられているのをご存じでしょうか。たとえば日本各地から、ウシガエルが他のカエルを食べ尽くしてしまった例が報告されています。長野県原村では、林がオオハンゴンソウで埋め尽くされ、在来植物が消えてしまう可能性があることから、地域の人たちによる駆除が行われるようになりました。
特定外来生物の広がりは、「外来生物法」という法律である程度は防げますが、広がってしまった特定外来生物は、地道な駆除でしか減らせません。駆除活動が各地で行われているので、一度参加してみませんか。きっと“海外からの侵略者たち”の恐ろしさや手強さを知ることができると思います。
(社内報kami-cocoro 里山マイスターの「里山通信」vol.11を転載)