里山の栽培物からは、世界の環境問題が見える
2010年7月20日(火)
5月中旬、栃木県の渡良瀬エコビレッジで行われた「和綿のタネまき」に参加してきました。前年に収穫したタネを畑にまく作業です。この後、双葉が芽生えて育ち、夏には黄色い花を咲かせます。そして「コットンボール」と呼ばれる実を結び、秋になると次々とはじけて綿が顔をのぞかせます。
和綿は江戸から明治初期にかけて、国内で盛んに栽培されていました。ところが今では絶滅の危機を迎えています。量産された安い輸入品に押され、日本で作られてきた種が絶滅しかけているのです。
問題はそれだけではありません。綿は重要な換金作物であるのと同時に、人の口に入らないため、多くの生産地が大量の農薬を使って栽培しています。その結果、中国、インド、アメリカ、パキスタンなどの量産地で、健康被害や、河川・土壌の化学物質汚染といった問題を起こしているのです。また、児童労働が問題化している地域もあります。
この和綿のように、かつては身近な里山で繰り返し作られていたけれど、今では大半を海外に依存しているものや、生産地で問題を起こしているものがたくさんあります。「里山の作物は世界の環境問題の教科書」と言っても過言ではありません。みなさんもぜひ、かつて身近で栽培されていた作物が、今はどこで栽培されているのか、調べてみてください。きっと環境問題への視野が広がると思います。
(社内報kami-cocoro 里山マイスターの「里山通信」vol.2を転載)