「里山物語」寄付金運用事例 第7号

2016年10月20日(木)

当社の「里山物語」を多くの企業・団体の皆さまに採用いただき、そのお預かりした寄付金の運用先を、協業するNPO法人里山保全再生ネットワークが選定した結果、第7回寄付金(平成27年度分)の支援先が決まりましたので、ご紹介いたします。

1.寄付金支援先
「岡田の里山を耕そう会」(長野県松本市岡田下岡田774-1) 会長 上條敦子

2.団体概要
長野県松本市岡田地区は、標高819.5mの芥子坊主山がつくりだす扇状地上に広がる、水に恵まれない地域ですが、ため池などにより農業用水を確保し、水田耕作や果樹栽培が行われてきた。しかし、地区の最高地点である芥子坊主山から里にかけて広がる山林は、人々の関心が薄くなり、松枯れなどの荒廃の進行を防ぐことは難しいです。
「岡田里山を耕そう会」は、衰退しつつある同地区で、人里から近い里山を再生し人々のにぎわいを取り戻すため、地元の林業会社や地域住民などが主体となって美しい里山を再び活性化することを目的とし、以下の事業を展開しています。
①森に人が分け入る事業(馬と森のまきば事業)
②果樹園や畑にかかわる人を増やす事業(ありんこファーム事業)
③多世代多文化な人々が岡田里山を楽しみあじわう事業(わらべ館事業)
3.選定理由
「里山物語」による寄付金を運用するNPO法人里山保全再生ネットワーク(代表理事 岩間敏彦氏)は、同地区で人々が暮らす里からほんの少し登った山の中腹に馬小屋と小さな牧場があることを知りヒアリングを行いました。そこでは、かつては乳牛が飼育されていた場所で、壊れかけていた牧舎を馬小屋に、荒れかけていた敷地を牧場に再生したとのことでした。そこで飼い始めた馬はかつて北海道の「ばんえい競馬」で活躍してきた「ばん馬」で、名前は「ヤマト」。人と人、人と自然をつなぐという意味があるのだそうです。馬を飼うことになったきっかけは、「里山を守るためにはもっと人を山に入れたい」と考えて、人を集める方法を探していた時、かつては当たり前にあった馬を使って働くという技術と出会ったとことだそうです。以降は「山と馬プロジェクト」というプロジェクトを立ち上げ、馬を使って田畑を耕す「馬耕」や、馬を使って山から木を引き出す「馬搬」の復活などを通じて、里山に人と人、人と山が出会う新たな場を創ることに取り組み始めたとのことでした。
今回、里山保全再生ネットワークは、以下の理由から支援を決定しました。
・馬の飼育によって持続可能な林業や農業、里山再生を目指す全国でも珍しい事例である。
・子育て団体や林業会社などとも協業しており、活動の広がりや持続性が期待できる。
・山に人を集めるために馬を導入するという発想は注目に値する。
・ホースセラピーなども視野に入れており、「里山×農業×林業×地域住民×福祉」といった掛け合わせ効果が期待できる。
・これまでの事例と同じように里山での活動を通じて、その大切さを学ぶ場となっており、里山の後継者の育成も期待できる。
里山再生のモデルとして模範的な特徴があるうえに、里山を福祉の場として活用することも計画しているなど、将来に向けて里山に新しい社会的な付加価値をつけられる活動になる可能性が高いこと。馬搬やホースセラピーなどの馬の活用は、社会的に注目されつつあり、話題性があることから発信力も期待できます。
なお、同会の活動履歴は浅いものの、数年前から柳沢林業が手入れをしており、その延長上から生まれた会に持続性の問題はないと判断しました。

4.支援内容
支援物資は会で相談して頂いた結果、組み立て式のピザ窯になりました。里山保全再生ネットワークは、かつて各地の団体にピザ窯を贈呈するというプロジェクトを展開し、その多様な効果(バイオマス利用、食育への応用、集客力向上、活動資金調達など)を実感していたため、賛成し実施しました。
今後、「岡田の里山を耕す会」では、馬が運び出した木材を使った製品や、馬耕によって生産した農作物のブランディング化を進めるほか、里山でのイベントも開催していくとのことです。里山保全再生ネットワークもこの活動に合流し、さまざまな人のつながりを創り出すことに協力していきたいと考えています。

なお、今回の支援活動に至るまで、「里山物語」を使用してくださった企業・団体名(50音順)は下記の通りです。
株式会社あすなろ書房、アルソ出版株式会社、飯野海運株式会社、因幡電機産業株式会社環境システム部、映画うみやまあひだ、株式会社オルタナ、かんでんEハウス株式会社、NPO法人共存の森ネットワーク、サンワコムシスエンジニアリング株式会社、株式会社シティライフNEW、新宿区立環境学習情報センター、西武信用金庫、ソニー銀行株式会社、株式会社大地を守る会、高山信用金庫、株式会社T&Dホールディングス、日本コムシス株式会社、公益財団法人日本自然保護協会、日本応用動物昆虫学会、株式会社東日本銀行、株式会社プレシーズ、株式会社北陸銀行、北陸電力株式会社、丸楽紙業株式会社、公益財団法人水と緑の惑星保全機構、ヤマトインターナショナル株式会社、ロイヤルホールディングス株式会社

こちらのサイトでも「里山物語」について紹介しています。
里山物語 公式サイト http://www.satoyama-paper.net/